WIndows 10のデフォルトのシステムフォントであるYu Gothic UIは視認性が低く,レンダリングの悪さも相まってお世辞にも美しいとはいえません。この記事ではそんなYu Gothic UIを完全に撲滅する方法を書いていきます。巷の記事にあふれるツールを使用するだけの場所以外にも,UWPアプリや「再起動中」表示に至るまで徹底的に置き換えます。言い換えれば,この記事の内容をすべて行えば普段使いでYu Gothic UIを見ることは一切ありません。そのレベルで置き換えます。
まずはこちらをご覧ください。
2024.03 更新
下記内容をアップデートし,面倒な操作をある程度自動化するツールを作成しました.

↑こちらをご利用ください.

以下,旧内容

デスクトップのスクリーンショット デスクトップのスクリーンショット
UACのスクリーンショット シャットダウン画面のスクリーンショット

Windows 10のシステムUIフォントを源ノ角ゴシックベースの自作フォント(後述)に完全に変更した様子です。今回はこの手順を紹介します。

0. 流れ

具体的な操作は以下の流れで行いました。なお, MacType を併用するとさらに高い効果が得られますのでお試しください。
1. メイリオUIも大っきらい!で変えられるところは変えておく
2. レジストリを編集してフォントの関連付けを変更
3. Yu Gothic UIに偽装した別フォントの作成
4. YuGoth*.ttcをYu Gothic UIと游ゴシックに分割
5. YuGoth*.ttcをシステムから削除
6. 游ゴシックと,Yu Gothic UIに偽装した別フォントをインストール
それぞれのステップについて説明していきます。
【重要】必ずバックアップを取って,復元ポイントを作成してから自己責任で実行してください。最悪の場合Windowsが起動しなくなる恐れもあります。いかなる不具合が生じても,当ブログは一切の責任を負いません。
【注意事項】
文字幅,文字コードに由来する以下のような不具合もあります。
(左) Wi-Fiの鍵アイコンの文字化け
021

一部項目が所定のスペースに収まっていない
 デスクトップのスクリーンショット

1. メイリオUIも大っきらい!で変えられるところは変えておく

この記事を読みに来るぐらいこだわっている方なら既にやっていると思うので省略します。
上の画像では自作フォントの "Roboto JP"というフォントを使用しています。



2. レジストリを編集してフォントの関連付けを変更

これはのちに右クリックメニュー,エクスプローラの1.で変えられなかった部分,タスクバーなどに反映されます。以下のページが詳しいので省略します。FontSubstitutesの関連付けはその名前のフォントがシステムにないときにのみ有効になります。Substitute は英語で代替という意味ですから,フォントがないときに代替として用いられるフォントを指定しているということです。

①レジストリエディタで
コンピューター\HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\FontSubstitutes
を開く
②新規 > 文字列 で文字列の値の名前を
Yu Gothic UI
Yu Gothic UI Bold
Yu Gothic UI Light
Yu Gothic UI Regular
Yu Gothic UI Semibold
Yu Gothic UI Semilight
にしたものを作成し,それぞれの値のデータを自分の使用したいフォント名に設定する。
レジストリ エディターのスクリーンショット
私は自作フォントのRoboto JPを使用しています(こちらの配布予定は今のところありません)権利の都合から,Roboter JPという名前に変えて配布をはじめました。詳しくはこちら

3. YuGoth*.ttcをYu Gothic UIと游ゴシックに分割

さて,ここからいよいよ実際にYu Gothic UIを抜いていきます。
①Windows+R > Fontsから「游ゴシック」を別の場所にコピーしておく。
②コピーしたttcファイルを Unitettc を使って複数のttfファイルに分割する。YuGoth*0*.ttfというファイルが複数できれば成功。
※以降,フォント名の * (アスタリスク記号)には "B" "L"などのウェイト記号や "001" "002" などの数字が入ると思って読んでください。
⚠ttcファイルも含めバックアップを取っておいてください。


4. Yu Gothic UIに偽装したフォントの作成

FontForge などのツールを使用して,置き換えたいフォントのプロパティをYu Gothic UIのものと一致させます。偽装フォントはUWPアプリの表示,スタートメニュー,アクションセンター,システム通知,UAC,ログイン画面,シャットダウン画面などシステムの深い部分に反映されます。
①置き換えたいフォントを開き,エレメント>フォント情報を開く
FontForgeのスクリーンショット
②Yu Gothic UIのフォント情報を横に開きながら,PSNamesとTTF名の項目をすべてコピーする
※「TTF名」が赤字で入力できないときはフィールドを右クリックして「PostScript名と切り離す」をクリックします。
③フォントを出力する
……と書いたのですが,こんなことをするのは流石に面倒ですよね。とはいえライセンスの問題から一般に配布することはかなりグレーです。でもやるのは面倒……。そんなあなたは お問い合わせフォーム まで! 「種別」欄に「フォント希望」とお書きください
**現在新規のフォントリクエストを停止しております**

5. YuGoth*.ttcをシステムから削除

YuGoth*.ttcはシステムフォントなのでコントロールパネルから削除できません。そこでツールを使って完全にアンインストールします。 これで従来のYu Gothic UIとは完全におさらばです。やったぜ。
武蔵システム 様のフリーソフトdelfont.exeを使用してYuGoth*.ttcを削除する。

②再起動

6. 游ゴシックと,Yu Gothic UIに偽装した別フォントをインストール

管理者権限とユーザー権限の両方でインストールしてください。
①先ほど分割したYuGoth*01.ttfをインストール (UIではないもともとの「游ゴシック」)
②先ほど生成したYuGothicUI*.ttfをインストール (偽装したUIフォント)
③フォントキャッシュを削除 (C:/Windows/system32/FNTCATHE.DAT を削除)
④再起動

7. 完成

再起動が完了すると…あらびっくり!美しいフォントで表示されているではありませんか!お疲れさまでした!


おまけ

Twitterなんかを見ていると,「游ゴシックは汚いフォント」だとか,「游ゴシック嫌い」といった声が散見されますが,それは誤解です。游ゴシックは字游工房が作成した格調高い美しいゴシック体であり, 醜悪な見た目の Yu Gothic UIとは名前こそ似ているものの別物です。Yu Gothic UIは游ゴシックの漢字と,ひらがなとカタカナを2/3幅にした独自フォントと英語版WIndowsのUIフォントであるSegoe UIを合成した,いわばMicrosoftによるオリジナルフォントです。游ゴシックはMacにも搭載されている美しいフォントですのでお間違いのなきようご注意ください。